フファヌ バイオグラフィー

Fufanu

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「僕たちは、特定のタイプの音楽のおさまろうしたことはないし、ひとつのジャンルの音楽にはまろうとしたこともない。もしそうしていれば、きっとアークティックモンキーのものまねバンドみたいになってしまっただろう。誰かが作った音楽に手を加えたり、今流行っているスタイルに合わせるのは簡単なことだ。でも僕たちはいつも独自の方向性を見つけようとしてきた」 ー カクタス・エナーソン(ボーカル)

巨大で荒涼とした音の塔。底を流れる軽快なリズム。ポストパンクとエレクトロテクノの共存。フファヌの音楽は他に類を見ない。高い評価を得た2015年のデビューアルバム「A Few More Days To Go」のリリースから一年半、待望のセカンドアルバム「Sports」は、さらに新しい要素を取り込んでいる。

 

2017年に向けて、フファヌは変化する、いやグリ・エナーソン(ギタリスト、プログラマー。カクタスと血縁関係はなし)は、「成長する」と言う。従来のサウンドにポップな曲想と躍動感あふれるリズムを加え、フファヌは時にドイツの伝説的バンド、ノイ!を彷彿させる。洗練されたポップなメロディと曲のアレンジは、過去2年の嵐のようなフファヌの躍進の延長上にある。2014年にアイスランドの首都レイキャビクのミュージックフェスティバルAirwavesで衝撃的デビューを果たして以来、ザ・ヴァクシーンズとの英国ツアー、フファヌのファンであるデーモン・アルバーンとのロンドン・ロイヤル・アルバートホールにおける共演、ハイドパークでのブラーのサポートアクト等、フファヌの活動には目覚しいものがある。

 

「Sports」が「A Few More Days To Go」から変わっていない唯一の点は、カクタスの説得力ある謎めいた歌詞である。フファヌの音楽に統一したテーマがあるとすれば、それは単調でさりげないこと。しかしそれはあくまで背景であって、フファヌの音楽はそれ以外のことも暗示する。フファヌの音楽には、常に表面上に見えるもの以上の含みがある。「これはすごく大事なことだと思う。」とカクタスは語る。「歌詞を書く時、すべてを書いてストーリーの一部始終を語ることもできる。でも僕はあえてそうしない。音楽を聴く人が時間をかけて歌詞の意味を掘り下げて考えることで、自身の体験となるんだ。」

 

「Sports」(アルバム名およびシングル)も、スポーツというタイトルにもかかわらず、スポーツにはまったく関係ない。「たとえばチョコレートケーキに目がないとか、好きな相手を必死で自分のものにしようとしていることについてなんだ。」 カクタスは謎めいた比喩でニューアルバムを説明する。

 

それしてもフファヌの音楽の底に一貫して流れる憂鬱や哀愁のようなものはどこから来るのだろうか?「さあ、僕にもわからないよ。」とカクタスは言う。「僕はとってもハッピーな人間なんだ。ああ、これは典型的なアイスランドの特徴で、暗さとか火山とかが僕を憂鬱にするんだ、といいたいところだけどね。アイスランドの冬の暗さは僕は好きだけど、そういう暗さじゃなくて、僕の歌詞は、僕の感情や時にはネガティブな面の表現なんだ。誰にだって多かれ少なかれ憂鬱な気分はあると思う。」

 

フファヌの誕生は2008年にさかのぼる。学生時代にカクタスとグリが出会い、お互いのiTunesを見て、同じようなテクノやエレクトロ音楽を聴いていることがわかり意気投合したのが始まりである。しかしある意味では、フファヌはふたりが生まれる前に始まったと言える。1980年代初、カクタスの父親エイナー(ビヨークと活動した伝説的バンド、シュガーキューブスのシンガー)がロンドンへ行った時に、英国のポストパンクのレコードをアイスランドへ持ち帰った。その後、ザ・フォール や クラス等の英国バンドをレイキャビクに招いた。こうして英国のポストパンクがアイスランドの音楽に影響を与えることになり、音楽から独立したイデオロギーにまで発展する。

 

カクタスとグリは子供時代からポストパンクを聴いていたが、その影響は本人たちには無意識のものであった。ふたりの初期の大きな影響は、テクノ。ふたりは初めて会ってから一週間もたたないうちにスタジオでエレクトロ音楽を作り始めた。自らキャプテン・フファヌと命名し(名前には意味がないが、ふたりが作り出した音楽の世界にふさわしいものであった)、DJを始めてレイキャビクに再びテクノ音楽をもたらした。そしてキャプテン・フファヌはそれから1ヶ月後に初公演を行った。もっともキャプテン・フファヌの音楽は、現在のフファヌとはまったくかけはなれたものであった。

 

「楽しいエレクトロ音楽だった。」とカクタスは振り返る。「僕たちは何かもっと深いものを目指していたんだけど、まだ能力がなかったんだ。キャプテン・フファヌとして何も発表しなかったのは、ひとつの制作を終えると同時に、次はもっと新しい、もっと難しいものを目指そうとしたからなんだ。」

 

そして運命の思わぬ展開がキャプテン・フファヌに転機をもたらした。スタジオが盗難にあい、すべての音楽が盗まれたのだ。その後、ふたりはバンドを新たに作り直したいという思いにとらわれた。キャプテン・フファヌの音楽はすべてインストルメンタルであったが、カクタスは、ロンドンでデーモン・アルバーンのアルバム「エヴリデイ・ロボッツ」の制作に参加していた際に、歌詞を書き始める。一方カクタスの不在中に、グリは新しいサウンドを創り上げていた。カクタスは、「グリは僕が考えていた通りの音楽を形にしてくれた」と述懐している。 そしてエレクトロにギターを初め楽器を加え、カクタスの力強く印象的なボーカルは彼らの新たな音楽にぴったりと合った。フファヌの誕生である。

 

カクタスはAirwavesミュージックフェスティバルで初めてフファヌとして演奏した時のことを振り返る。「みんなノリのいい音楽を期待してAirwavesに来ていたんだ。でもほとんどのバンドはすごく暗い音楽ばっかりだった。」そんな中でフファヌは、Airwavesで最も話題に上ったバンドとなった。

アルバム「A Few More Days To Go 」の中では、特に「Circus Life」 や「Blinking」といった曲に、現在の音楽には珍しい激しい怒りや不満を取り込んだフファヌ・サウンドが光る 。

 

アルバム「Sports」では、カクタスとグリのデュオにドラマーのアーリング・エリ・バングが加わり、さらにサウンドが充実している。アルバム最後に収録されているエレクトロ・ラブソングの傑作、「Your Fool 」 と 「Restart」を、フファヌが2014年または2015年の時点で生み出していたとは驚くばかりである。

 

ザ・ヴァクシーンズとの英国ツアーで、フファヌは新しい観客層に出会う。「若い女の子とそのお父さんたちばかりだったから、ちょっと調子が狂ったよ。でも素晴らしい経験だった。」とカクタスは言う。「ザ・ヴァクシーンズには、アイスランド人のメンバー(ベーシストのアリ・アルナソン)がいた関係で共演できたんだ。新しい観客層に合うようにプレイリストを作り直すことになったんだけど、おかげで新しいファンができたよ。」 

 

Fufanu

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「デーモン・アルバーンは僕が彼のスタジオにいた時に(僕の仕事はほとんどお茶汲みだったけどね)、フファヌの音楽を聴いて、ファンになってくれた。」 それ以来フファヌは数々の経験を重ねる。アメリカのシンガーソングライター、ジョン・グラントと共演。また同じくアメリカのボビー・ウーマックのツアークルーとして仕事をした際に、カクタスは自分自身が経験していないことは決して歌詞に書かないことを学んだ。 こうした貴重な体験を経て、フファヌは当初からのパイオニア精神を忘れることなく自分たちが本当に作りたかった音楽を作った。

 

「エレクトロテクノに楽器を加えて、「A Few More Days To Go」へ行き着いた。「Sports」はある意味、テクノへ回帰しながら、以前のテクノよりも洗練された形の音楽になった。おかしく聞こえるかもしれないけど、フファヌの音楽は、本当に音楽が好きな人向けの音楽なんだ。」カクタスは語る。

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カクタスは、ニューアルバム「Sports」に収録されている「Tokyo」について、次のように語っている。「「Tokyo」は、必ずアルバムに入れることを決めた最初の曲なんだ。ヤー・ヤー・ヤーズのニック・ジナーと初めて仕事をして、「Ballerina in the Rain」のラジオバージョンを作っている時にね。」

「僕は東京で休暇を過ごした後、アイスランドへ戻ってスタジオに直行した。デモの段階では、歌詞ははっきりした言葉になっていなかったんだけど、「bright future (輝く未来)」っていうフレーズが聞こえたんだ。スタジオで時差の眠気と戦っている時に、僕は頭の中で何度も東京へ戻った。そして派手なネオンサイン、それでもすべてが落ち着いていて整然している様子が見えた。そう輝く未来。ベッドに入って眠ろうとしているうちに、つらい時差と東京での楽しい時間についての歌詞があっという間に出来上がったんだ。」

 

 


sports // Lyrics

Sports 〜スポーツ

赤いソースがかかったチョコレートブラウニーが大好き。君を見つめ続ける。カウンターの向こうのとびきりおいしそうなブラウニーが僕を見つめ返す。
でもカウンターの彼女はこう言う。「あのブラウニーはあなたのものじゃないの。」
でもなんとかひとつ買って、安くはないけど、もうひとつ。
赤いソースがかかったチョコレートケーキが大好き。だから今すぐほしい。今すぐ。でも彼女は「これはあなたのものじゃないの。」と言う。
店に入ってブラウニーを見た途端、まるで6歳の子どもみたいに勢い余って転んでしまう。ブラウニーを買って店を出る時はうれしくて6歳の子どもみたいに飛びはねる。
赤いソースがかかったチョコレートケーキが大好き。時間をかけて君を僕のものにした。時間をかけて。
店に入ってブラウニーを見た途端、まるで6歳の子どもみたいに勢い余ってつまづく。ブラウニーを買って店を出る時はうれしくて6歳の子どもみたいに飛びはねる。


Liability 〜責任

僕は若い。時間は永遠。
木がゆっくりと成長するのを見ながら考える。
もし木がなくなったらどんな世界になってしまうだろう。
僕たちがこの世を去る時、何を残すことができるだろう。
 
僕は若い。世の中の問題は気になるけれど、それでも自由を楽しむことができる。
社会的な責任を感じながらも僕は若くて自由だ。
 
どの部屋へ入っても、感覚を失ったように、皆の顔が煙の向こうにぼやけて見える。
友達には悪いけれど、僕は皆と同じように楽しめない。
冗談を言い合って親しくしても、 それでも僕は皆のようには世の中を楽しめない。
 
僕は若い。世の中の問題は気になるけれど、それでも自由を楽しむことができる。
社会的な責任を感じながらも僕は若くて自由だ。